上田紬の歴史・魅力
上田紬の歴史
上田紬は真田家が始めた織物
上田紬は今から400年ほど前、戦国武将の1人して名高い真田昌幸が上田城を築いた際に、地場産業として奨励した真田織に端を発している絹織物です。
上田地域では江戸期から昭和半ばまで、蚕種業や養蚕業が盛んに行われており、繭蔵を備えた製糸工場の跡や蚕室造りの農家が現在でも残り、歴史を物語っています。
農家の副業として生まれた自家用の着物地でもあった上田紬ですが、歴史を受け継ぐ工房が現在でも伝統を受け継いでいます。
日本三大紬に
上田の気候や風土は養蚕に適しており、江戸中期には江戸や京都でも多くの方に愛用されてきた歴史があります。
軽くて丈夫で、シンプルで使いやすいデザインであることから、全国的にも広まり、江戸時代には奄美大島の大島紬や茨城の結城紬と並び、日本の三大紬と称されています。
江戸時代の有名な人形浄瑠璃作家である井原西鶴の「日本永代蔵」にも、上田紬の名が登場するほどの知名度を誇りました。
昭和50年には、信州紬として国の伝統的工芸品に指定されています。
上田紬の魅力
丈夫で軽いやさしい手触り
上田紬は絹100%で作られており、光沢があり、手触りや肌触りが良いうえ、軽くて丈夫です。
別名、三裏紬とも呼ばれており、3回裏地を変えても破れないという意味です。
それだけ丈夫であることがわかります。
歴史的な由来から、真田幸村のように丈夫で強いとも物語られてきました。
目の細かい糸使いでしっかりと織り込む技法が、丈夫に仕上がる理由の一つです。
農家が養蚕をしながら、自家用着物として利用していた歴史もあり、作業にも耐える丈夫さを兼ね備えてきた歴史もあります。
江戸時代から織り継がれる縞・格子柄デザイン
上田紬のもう1つの特徴は縞・格子柄で、シンプルで飽きのこないデザインは江戸時代より、万人から愛されてきたものです。
上田紬は伝統的な技法は受け継がれていますが、工房によって反物の柄や色合いにも少しずつ変化が生じています。
最近では若い方にも受け入れられやすいパステル調や現代的なデザインを取り入れる工房も増えてきました。
当店では、昔ながらの落ち着いた色と縞・格子柄を基本に、茶色やベージュ、落ち着きのある赤や気品ある黒など現代調のものも少しずつ開発しております。
また、一枚一枚手織りで織る特徴を活かし、経糸と緯糸で雰囲気が変わる織物の魅力を引き出したショールなども販売しております。
染色、整経、織りまで自社工房の職人が織り上げる
上田紬は染色、整経 、織りという一連の工程すべてを自社工房の職人が行うことも大きな特徴です。
古来より、くず繭から真綿をかけ、糸を積み、自らの手で染めあげてから織るという細やかな手仕事が受け継がれてきました。
信州上田の地の地域性でもある、人びとの根気強さや勤勉さを物語っている伝統的な技法です。
縞・格子柄は人気ですが、染め方にもデザインにも厳格な規制はございません。
すべての工程を自社工房の職人のみで行うことができ、自由度が高いことから作り手の一人ひとりの思いを自由に表現できるのも魅力です。